フォールトトレランスとは?
フォールトトレランスの特徴を簡単に解説します。
- フォールトトレランスとは?
- 英語表記と覚え方
- なぜフォールトトレランスが必要か
順番に見ていきましょう
①フォールトトレランスとは?
フォールトトレランスとは、システムが不具合や障害に耐性を持ち、正常に機能し続ける能力を指します。高い冗長性を持ち、コンポーネントが相互にバックアップし合うことで、単一障害によるシステム停止を防ぐことができます。”故障しないこと”を重きを置くフォールトアボイダンスと違い、”故障しても耐える”という点を重視しています。
②英語表記と覚え方
フォールトトレランスは英語で “Fault Tolerance” と表記されます。この言葉は、”Fault(障害)”と”Tolerance(耐性)”から成り立っており、合わせて『障害に対する耐性』となります。覚え方としては、『故障』が起こったときに、システムが『耐性』を持って機能を続ける、という意味を持つ言葉であるという点を考えると良いでしょう。
③なぜフォールトトレランスが必要か
現代のシステムやサービスが非常に複雑であり、完全な障害の回避は不可能だからです。また、システムの停止や障害が企業や組織に大きな損失をもたらす可能性があるため、フォールトトレランスは事業継続性の重要な要素となっています。さらに、ユーザーの利便性と満足度を維持するためにも、システムの中断を最小限に抑える必要があります。
フォールトトレランスの具体例
フォールトトレランスの具体例を簡単に解説します。
- 自動車のタイヤ
- 非常用照明装置
- データのバックアップ
順番に見ていきましょう!
①自動車のタイヤ
自動車はタイヤがパンクしても、他のタイヤが機能し続けることで運転可能です。さらに、スペアタイヤやランフラットタイヤ(穴が開いても、一定の距離を走行できる特殊なタイヤ)などの補助装備もあり、故障に対処するための手段が整っています。これにより、予期せぬ故障が起きたとしても、運転手は安全に目的地に到達することができます。
②非常用照明装置
非常用照明装置は、停電や災害時に備えて設置される照明装置で、フォールトトレランスの一形態です。通常の電源が喪失した場合でも、非常用照明装置は内蔵されたバッテリーや独立した電源から電力を供給し、照明を維持します。これにより、停電時でも建物内の照明が確保され、避難や作業の安全を確保します。
③データのバックアップ
データのバックアップもフォールトトレランスの例として挙げられます。システムに障害があった場合でも、バックアップされたデータを利用することで、データの損失を最小限に抑えることができます。定期的にデータをバックアップし、別の場所に保存することで、データの安全性と信頼性を向上させることができます。
フォールトトレランスの実現方法
次にフォールトトレランスの仕組みを簡単に解説します。
- RAID(レイド)
- クラスタリング
- ロードバランシング
- デュプレックスシステム
順番に見ていきましょう!
①RAID(レイド)
RAIDは、複数のハードディスクドライブを組み合わせて、データの冗長性とパフォーマンスを向上させる技術です。RAIDでは、データを複数のディスクに分散させることで、1つのディスクに障害が発生しても他のディスクからデータを復旧できます。例えばミラーリングのRAID1やパリティを用いるRAID5などがあります。
②クラスタリング
クラスタリングは、複数のサーバーを1つのグループとして組み合わせ、冗長性と負荷分散を実現する技術です。クラスタリングでは、複数のサーバーが同じサービスを提供し、リクエストが1つのサーバーに集中すると他のサーバーにリクエストが分散されます。これにより、1台のサーバーに障害が発生しても他のサーバーが処理を引き継ぐことでサービスの継続を保証します。
③ロードバランシング
ロードバランシングは、複数のサーバー間でリクエストやトラフィックを均等に分散する技術です。ロードバランサーは、リクエストを受信した際に負荷の軽いサーバーにリクエストを転送することで、負荷を均等に分散します。これにより、特定のサーバーに負荷が集中して障害が発生するリスクを低減し、全体的なシステムの信頼性を向上させます。
④デュプレックスシステム
デュプレックスシステムとは、システムの各部分が冗長化され、2つの同じ機能を持つ部品が並行して稼働する方式です。一方の部品に障害が発生しても、もう一方の部品が自動的に処理を引き継ぎます。予備機をいつでも開始できる状態にしておくホットスタンバイや、障害時に初めて起動するコールドスタンバイなどがあります。
フォールトトレランスの関連用語
次にフェールソフトの関連用語を解説します。
- フォールトアボイダンス
- フェールソフト
- フェールセーフ
- フールプルーフ
順番に見ていきましょう!
①フォールトアボイダンス
フォールトアボイダンスは、システムやプロセスにおいて障害やエラーを回避するための手法や戦略を指します。フォールトトレランスとは異なり、障害が発生する前に予防することに焦点を当てています。具体的には、部品の高品質化や徹底的なテスト、技術者の養成や設計の冗長性などが挙げられます。
②フェールソフト
フェールソフトは、システムが障害に遭遇した際に、その機能を一部制限してでも動作を継続する戦略です。フォールトトレランスとは異なり、完全な機能の維持を目指すのではなく、一時的な機能制限を通じてシステムの一部を維持することに重点が置かれます。身近な例でいえば飛行機のエンジンなどが挙げられます。
③フェールセーフ
フェールセーフは、システムが障害やエラーが発生した場合でも安全な状態に移行することを保証する仕組みを指します。これにより、システムが予期せぬ状態に陥ることを防止し、安全性を確保します。例えば、停電時に非常用電源が自動的に作動するシステムなどがフェールセーフの例です。
④フールプルーフ
フールプルーフは、誤操作やヒューマンエラーを最小限に抑える設計やシステムを指します。ユーザーが間違った操作を行っても、システムが正常に機能するように工夫されています。例えば、子供のいたずらによる誤操作を防ぐための操作ロック機能や、簡易的なインターフェース設計などがフールプルーフの実装例です。
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