サイバーキルチェーンとは?簡単に解説!
サイバーキルチェーンの特徴を簡単に解説します。
- サイバー攻撃の7段階
- 元々は軍事用語
- 将来的な脅威に対する予防策
順番に見ていきましょう。
サイバーキルチェーンとは?
サイバーキルチェーンとは、サイバー攻撃のプロセスを7つの段階に分けて表したモデルです。 このモデルは攻撃者が目標に到達するまでの一連の行動を体系的に理解するのに役立ちます。具体的には、攻撃の初期段階から最終目標の達成まで、攻撃者がたどる一連のステップを示しています。
サイバーキルチェーンの由来
サイバーキルチェーンの概念は、米国の防衛技術会社であるロッキード・マーチンによって開発されました。このモデルは、元々軍事用語の「キルチェーン」から着想を得ており、敵の攻撃を阻止するために必要な一連の行動を指します。サイバー空間における攻撃を効果的に防御するために、この概念が適応されました。
サイバーキルチェーンの役割
サイバーキルチェーンの主な役割は、セキュリティ専門家がサイバー攻撃をよりよく理解し、適切な防御策を講じるためのフレームワークを提供することです。各段階を詳細に分析することで、攻撃の兆候を早期に発見し、対応措置を講じることが可能になります。また、過去の攻撃から学び、将来的な脅威に対する予防策を強化することもできます。
サイバーキルチェーンの7段階
サイバーキルチェーンは以下の段階で進みます。
- 偵察
- 武器化
- 配送
- 攻撃
- インストール
- 遠隔操作
- 目的達成
順番に見ていきましょう。
偵察(Reconnaissance)
偵察段階では攻撃者が情報収集を行います。企業ウェブサイトやメディア、ソーシャルエンジニアリングを通してターゲットに関する情報を集めます。このフェーズは、サイバー攻撃の基盤を築くために不可欠です。攻撃者は標的のセキュリティ体制の弱点や脆弱性を特定し、最も効果的な攻撃方法を策定します。
武器化(Weaponization)
武器化段階では収集した情報を使用して攻撃ツールを準備します。攻撃者は、特定の標的にカスタマイズされたマルウェアを作成し、標的のシステムを侵害するためのツールや方法を開発します。このプロセスには、悪意のあるコードの組み込み、フィッシングメールや悪意のあるウェブサイトの設計が含まれます。
配送(Delivery)
配送段階では、攻撃者が武器化した攻撃コードを標的に届けます。メールの添付ファイル、悪意のあるウェブサイト、またはUSBドライブなどの物理的なメディアを利用してマルウェアを配布することが一般的です。このステップの目的は、標的のユーザーがマルウェアをダウンロードして実行するように誘導することです。
攻撃(Exploitation)
攻撃段階では、攻撃者は標的システムの脆弱性を利用して侵入します。これには、標的がダウンロードしたマルウェアの実行や、エクスプロイトを介した不正アクセスが含まれます。攻撃者はこの段階で、標的のセキュリティシステムを回避し、さらなる悪意のある活動のために足がかりを確保します。
インストール(Installation)
インストール段階では、標的がマルウェアに感染します。主な目的は、攻撃者が将来的な活動を継続的に行うための安定したアクセスポイントを確保することであり、バックドアの設置、ルートキットの導入、マルウェアの展開などが行われます。攻撃者が検出されずにシステムにアクセスし続けることを可能にます。
遠隔操作(Command and Control)
遠隔操作段階では、インストール済みのマルウェアやボットネットと通信し、それらを遠隔地から指揮します。この段階では、C&Cサーバーが中心的な役割を果たします。この通信は、新たな指示の送信、追加のデータの窃取、その他の悪意のある活動の調整に利用されます。
目的達成(Actions on Objectives)
最終段階である目的達成では、盗んだデータを外部に転送したり、システムを破壊したりすることによって、その目的を実現します。これは機密情報の窃盗、金銭的な利得、サービスの妨害、または単に混乱を引き起こすことなど、さまざまな形態を取り得ます。
サイバーキルチェーンの対策
サイバーキルチェーンの対策には以下のようなものがあります。
- 侵入前提の多層防御
- 入口・内部・出口対策
- チェーンを断ち切る対策
- 教育と意識向上
順番に見ていきましょう。
侵入前提の多層防御
サイバーキルチェーンにおける多層防御は、複数のセキュリティ対策を組み合わせて、ネットワークやシステムを保護するセキュリティ戦略です。単一のセキュリティ対策だけではなく、複数のセキュリティレイヤーを組み合わせることで、攻撃者がシステムに侵入し、悪意のある活動を行うのをより困難にします。
入口・内部・出口対策
従来の対策方法では『侵入されない』ことを重視していましたが、IT技術の進歩とともに攻撃の方法も多様化したため、『侵入されることを前提とする』対策方法にも注目が集まるようになりました。入口対策ではマルウェアの侵入を防ぎ、内部対策では攻撃をいち早く検知し、出口対策で情報の持ち出しを防ぎます。
入口対策
入口対策は、システムに侵入しようとするサイバー攻撃を防ぐための対策です。
- IDS/IPSの導入
- アンチウイルス
- ファイアウォール
- メールフィルタリング
などが例として挙げられ、外部からの攻撃を遮断することで、サイバーキルチェーンの発生を未然に防ぐことを目的としています。
内部対策
内部対策は、システム内部での不正アクセスや攻撃に対する防御を意味します。
- EDRの導入
- ログ監視ツール
- ネットワークの分離
- ユーザー認証システム
などが例として挙げられ、脅威が社内ネットワークに侵入した際に、被害の拡大を防ぐことを目的としています。
出口対策
外部対策は、組織の情報を外部に持ち出されることを防ぐための対策です。
- 従業員の教育
- データの暗号化
- サンドボックス
- ペネトレーションテスト
などが例として挙げられ、組織全体のセキュリティレベルを向上させ、外部からの脅威に対する備えを整えることを目的としています。
チェーンを断ち切る対策
各攻撃フェーズに対して特化した対策を講じることで、攻撃者が次のステップに進むのを阻止します。たとえば、偵察フェーズでは、外部からのスキャンを検知するシステムを導入することが効果的です。武器化や配送フェーズでは、フィッシング詐欺や悪意のある添付ファイルをブロックするメールセキュリティソリューションが有効です。
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